アマルガムとは?
アマルガムは「歯科用水銀アマルガム」の略で、主に虫歯治療のため、歯に充填される歯科治療材料で、銀 ・ スズ・銅などの金属を水銀に加えて作られるものです。
全体の約40~50%の水銀を含有しています。健康保険の適用材料として認定されており、一般的に使用されてきました。
以前に、奥歯の虫歯を治療したことがあり、その部位に銀色の詰め物がある場合、それは、ほぼ間違いなくアマルガムだといえるでしょう。
そのように、広く普及していたアマルガムですが、70年代をピークに、近年では使用量は減少しています。
現在でも保険が適応するので、医院によっては使用される場合もあるようですが、アマルガムの安全性を疑問視する声もあがっています。
水銀の有害性。さまざまな症状と、身体や胎児への影響
アマルガムはお口の中で劣化し、腐食しやすい傾向があるため、人体に影響を及ぼすおそれがあります。
研究では、歯に詰めたアマルガムは口腔内でイオン化し、3年以内に劣化の兆候を示し、10年後には60~84%が減少すると報告されています。
アマルガムが腐食するのは、唾液が電解液として作用するから、その他には、果物・野菜・コーヒー・お茶などの酸も、化学反応を引き起こす要因といえます。
また、アマルガムは物を噛む際など摩擦が生じた時に、その熱で水銀を含んだ蒸気を発生するともいわれます。
その結果として、水銀の粒子や水銀の蒸気が体内に流出し、自覚のないままに吸収され、腎臓、肝臓、脳などに蓄積される可能性があるのです。
水銀の有害性は広く知られていますが、お口の中の水銀化合物は、全身の健康にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?
まず、口腔内の他の歯科材料による金属アレルギーと同じように、イオン化した水銀化合物が体内に入り、蛋白質と結合すると、それによって過剰反応が引き起こされます。
アトピーのような皮膚の炎症や、手のひらや足の裏などに掌蹠膿疱症という水泡状の湿疹が繰り返しあらわれたりします。
それから、蒸発した水銀の蒸気を吸い込むと、すぐに組織の中に吸収され、細胞膜を通って拡散してしまいます。
水銀は、人体に有害な物質の中でも神経毒性の強い物質です。
全身にあらわれるさまざまな不快な症状――感覚異常・不眠・神経的なイライラ・頭痛・めまい・アレルギー・原因不明の痛み等は、もしかしたらお口の中のアマルガムのせいなのかもしれません。
実際、アマルガムを除去することで症状が改善されるケースも、少なくないのです。
また、お子さんを希望する女性や妊産婦の方にとっては、アマルガムはさらなる危険を秘めているといえます。
水銀のために妊娠しにくくなるという報告があるうえに、水銀が胎児や母乳にまで届く怖れがあるというのです。
事実、1998年4月イギリス厚生省は妊婦にアマルガムの詰め物をしないように警告を発しました。
医療先進国のスウェーデンでも、1987年に政府が同様の発表をしています。
広がるアマルガム撤廃の動き。規制と訴訟
アメリカでも、アマルガムを規制する流れは起きています。
コロラド州ではアマルガム充填の制限が法制化され、メーン州、アリゾナ州では、歯科医師が水銀の潜在リスクに関する詳しい情報を患者に提供することが義務化されました。
カリフォルニア州では、アマルガムを危惧する消費者団体などから複数の訴訟が起きています。
昨年11月には、カリフォルニア州知事が水銀を使用した体温計などの、水銀撤廃の法制化に向けて法案を提出しました。
日本でも近年、「歯科用水銀アマルガムに関する質問主意書」が国会に提出されています。
それに対する厚生労働省の答弁書によると、現時点では、アマルガム充填とアトピー性皮膚炎との間に因果関係があるかどうかは明らかではなく、アマルガムは歯科素材としての有効性が認められており、歯科医師が個々の患者の特性を十分考慮しながら使用するものであるから、現段階では使用を禁止することは考えていないが、今後とも、情報収集など適切な医療の提供の推進に努める旨などが、述べられています。
アマルガムの賛否両論
アマルガムの歴史は古く、かつては、ほとんどの歯科医院で一般的に使用されていました。
今でも、医院によっては使用される場合もありますし、歯科医師によっては従来同様、有用で害のない材料だという立場をとられる方もいます。
手軽で使いやすい材料ではありますし、また、水銀が神経に作用するため、痛みを吸収してくれる役割があることも確かです。
昔、傷薬としてよく使われていた、いわゆる「赤チン」も、痛みを抑えるために水銀が含まれていました。
水銀の害を懸念して現在では使用されることはありませんが、歯科でのアマルガム使用の減少も、ちょうど同じ時期にあたります。もちろん現在当医院では使用しておりません。
昔の日本の歯科医療では、痛くなってから歯科医院へ行き、悪い部分を削る、または抜くのが主流でした。
そのような時代には、安価で痛みを抑えるアマルガムは適した材料であったのでしょう。
しかし、そのような処置方法を続けることは、お口の健康にとっても望ましいものではありません。
削って抜くことの繰り返しでは、自身の歯を失うことになってしまうからです。
現在では、厚生省の展開する8020運動(ハチマル・ニイマルうんどう:80歳で20本の歯を保つ)に代表されるように、いかに健康な歯を長く保てるかが、重要になっています。
しかし、自身の歯を保つ為にも、アマルガムは適した材料とはいえません。
アマルガムと二次カリエス(虫歯の再発)
アマルガムは固まりやすく溶けやすい材料です。そのため、処置が手軽にできるという利点があります。
ただしそれは、お口の中においては欠点にかわります。熱いお茶などを飲むと溶けてしまうため、どんなに上手に処置しても、辺縁から形が変わってしまうからです。
そして、そのようにして出来た隙間から、せっかく治療した虫歯が再発してしまう率が高いのです。これを二次カリエスと言います。
しかも、実際には二次カリエスになっているにも関わらず、水銀が痛みを抑えてしまうため、本人は気がつかないことが多いのです。
痛いと思った時には、かなり虫歯が進行していて、残念ながら歯を抜かざるを得ないことが、多々あります。
アマルガムと歯の変色
またアマルガムは、お口の美しさ、審美的な側面から見ても、問題がある材料です。
アマルガムを詰めた部位が、黒ずんだ銀色で目立つのはもちろんですが、歯や歯茎の色まで変色させる(タトゥー/P1写真参照)場合があるのです。
アマルガムの成分が溶け出して、歯髄、歯面から組織に着色因子が取り込まれて起こるもので、このような場合は、著しく黒ずんでいるのが特徴です。
アマルガムに代わる材料
さまざまな問題を抱えるアマルガムですが、最近ではそれに代わる様々な新しい材料が開発され、使用されています。
これからアマルガムを使用しないことはもちろん、現在お口の中にアマルガムがあるならば、それを除去し、より安全な材料(当医院ではダイレクトレジン)に代えることをお勧めいたします。
アマルガムへの対応
2013年5月にヒルトン東京ベイホテルで開催された第8回日本アンチエイジング歯科学会学術大会でも、アマルガムが想像以上に体にとって良くないという発表がありました。
当医院ではまず、問診、各種口腔内検査・診査を行い、口腔内のアマルガム充填物の有無と、過去の治療部位に、2次カリエス等の歯科疾患が存在するかどうかを、確認致します。
その後、診療方針を相談・確認した上で、必要に応じた検査・治療を行なって参ります。
また、千葉市若葉区のピュアスマイル原田歯科クリニックでは、ラバーダムを使用して歯を隔離し、お口の中や喉に入ることの無いよう口全体をラバーダムにて覆い被せて水銀の飛散を防ぐとともに、パワフルな口腔外吸引器を使って、水銀を含む粉塵を患者様が吸わないですむように万全の配慮しております。
アマルガムについてこんなお問い合わせをいただきました。
【お悩み内容】
アマルガムの除去について伺いたく思います。
私は現在○国に滞在中で(○月に帰国予定)、今年○月に○国の保険適用歯科にて日本で作っていただいた銀歯の下にできていた虫歯2本の治療を受けました。
アラブ系の歯医者様が治療してくださったのですが、アマルガムだとのことで、鬱などの健康被害の評判があり、心配しています。(初めての○国の冬~春は眠気がひどいこともあり、少し困惑しておりました。)
心配のしすぎかな、とも思うのですが、以下の2点についてご教示いただければ幸いです。
1. 水銀などの健康被害が出始めるとすれば、アマルガム充填からすぐに出るものなのでしょうか。
2. アマルガムは傷む前に取り外したほうがよいのでしょうかか。また治療費はいくらほどかかるものなのでしょうか(左上の隣あった臼歯2本です)。
お忙しいとは思いますが、ご回答いただければ幸いです。
(以上、一部改変して掲載)
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このように、アマルガムの有害性は一般の方にもかなり知られるようになってきております。
歯科医療において有害性や有益性が他の国で明らかになってかなり時間がたってから日本の厚労省が重い腰を上げるというのは、よくあることです。
日本でも2016年4月になってやっとアマルガムが健康保険での歯科治療から排除されました。
アマルガムが公式に有害であることが認められたのです。
では、すでにアマルガムが口の中に入っている方はどうしたら良いでしょうか?
解決策はあります。
もし治療してある範囲が小さいならダイレクトレジンやハイブリッド充填という方法があります。
これなら白い歯ですし、健康な歯を極力削らない方法なので好評です。 ただ、このダイレクトレジンやハイブリッド充填は合成樹脂(プラスチック)の詰め物です。
以前よりは改良されているとはいえ、経年的に着色して黄ばんでくることがあります。
そうした変色を回避する、またはアマルガムが広範囲に詰めてあるなら、被せ物(冠)で対応する必要があります。
具体的には、ジルコニアセラミック冠が丈夫ですし、透明感があり、表面もツルツルなので自分の歯と見まがうこともあるくらいなのでオススメです。
今では昔と違って素晴らしい材料が日進月歩で開発されています。
歯のことで質問がありましたら、ぜひ遠慮なく相談して下さい。
連絡をお待ちしております。
help@uhappy.tv
TEL 043 232 9988